警職法上の避難等の措置において、警察官ができる強制措置について述べなさい。
(1)意義及び法的根拠
警察官は、警職法4条1項を根拠として、一定の危険な事態が生じている場合において、危害防止のため、関係者等に警告を発し、避難等の必要な措置をとるよう命じ、又は自ら必要な措置をとることができる。
(2)避難等の措置の目的
避難等の措置は、個人の生命、身体及び財産の保護という警察の責務を達成するため、一定の要件を満たす場合において、即時強制を含む必要な権限を警察官に与えたものである。
(3)措置をとり得る要件
措置をとり得るためには、人の生命、身体に対し現実の危険が切迫していること、又は財産に対して、重大な損害を及ぼすおそれがある現実の危険が切迫していることが必要である。
(1)警告措置
警察官は、対象者に対し、危害を回避するため、危険の予告や注意を与え、避難や危険防止等の必要な行為を求めることができる。警告は、いわゆる「行政指導」であって、強制措置ではないが、相手方はこれを受忍する義務がある。
(2)緊急措置
危険な事態があり、特に急を要する場合であって、警告では不十分であるときには、強制措置をとることができる。
ア 引き留め若しくは避難させること
相手方の意思にかかわらず、危険を受けるおそれのある者に対し、実力を用いて強制的に引き留め、又は避難させることができる。
これは、即時強制を認めたものであり、実力を行使する方法に制限はないが、必要最小限度の範囲でなければならない。
イ 必要な措置命令を発すること
その場に居合わせた者、その事物の管理者その他の関係者に対し、危険防止のために通常必要と認められる措置をとることを命令することができる。
ウ 警察官自ら必要な措置をとること
警察官は、当該危険な事態を回避するために必要と認められる措置を自らとることができる。
これは、即時強制として、警察官自身が必要な措置を強制的に実行することを認めたものである。