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刑事訴訟法

私人による現行犯逮捕、その後の手続

[問題]

私人が現行犯逮捕した場合におけるその後の手続について述べなさい。

  1. 私人による現行犯人の逮捕と令状主義
  2. 現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者を現行犯人という(刑訴法212条)。

    現行犯人の逮捕は、令状主義の原則の例外であり(憲法33条)、何人でも逮捕状によることなく逮捕することができる(刑訴法213条)。

    私人にあっても逮捕権が認められているのは、現行犯人の場合は、無実の者を誤って逮捕するおそれがないこと、及び急速に逮捕する必要性があることを理由としている。

  3. 逮捕された現行犯人の受取り
  4. 現行犯人を逮捕した一般私人は、逮捕した被疑者の身柄について、地方検察庁若しくは区検察庁の検察官、又は司法警察職員に「直ちに」引き渡さなければならない(刑訴法214条)。

    「直ちに」引き渡さなければならないとされていることから、私人において、逮捕後に犯人を取り調べたり、令状によらない捜索・差押えや検証を行ったりすることは許されない。

  5. 逮捕者に対する聴取等
  6. 司法巡査が被逮捕者の身柄を受け取った場合、逮捕者の氏名、住居及び逮捕の事由を聴き取らなければならない。必要がある場合には、逮捕者に対し、共に引致すべき警察署に行くことを求めることができる(刑訴法215条2項、犯捜規129条1項)。

    なお、警察官による逮捕ではないことから、身柄を受け取った警察官において、逮捕の現場における捜索・差押え(刑訴法220条1項2号)等の捜査活動を行うことはできない。

  7. 司法警察員への引致
  8. 司法巡査が被逮捕者の身柄を受けた場合、被逮捕者の身柄は「速やかに」司法警察員に引致しなければならない(刑訴法215条1項、犯捜規129条2項)。

    「速やかに」とされているのは、逮捕者の氏名・住居及び逮捕の事由を聴き取るなどの措置をとらなければならないためである。