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刑事訴訟法

逮捕後の手続

[問題]

交番勤務のA巡査は、一般人が逮捕した車上ねらいの被疑者を警察署に連行し、刑事課のB警部補に引致した。被疑者の引渡しを含めた、逮捕後においてとるべき刑事手続について述べなさい。

  1. 引致
  2. (1)意義

    引致とは、被疑者を強制的に司法警察員の下に連行することをいう。司法巡査は、被疑者を逮捕した場合、又は一般私人から現行犯人を受け取った場合、これらの者を司法警察員に引致することとなる。

    (2)目的

    司法警察員が、被疑者に対し逮捕事実の要旨及び弁護人選任権を告知して弁解の機会を与えるとともに、自ら留置継続の要否を判断することにある。

  3. 逮捕後の手続
  4. (1)自ら逮捕した場合の手続

    被疑者を逮捕した司法巡査は、直ちに、司法警察員に引致しなければならない(刑訴法202条)。

    (2)一般私人から現行犯人を受け取った場合の手続

    司法巡査は、現行犯人を速やかに司法警察員に引致しなければならない。現行犯人を受け取った場合には、逮捕者の氏名、住所及び逮捕の事由を聴取し、必要があるときは、逮捕者に対し共に官公署に行くことを求めることができる(刑訴法215条)。

  5. 引致を受けた司法警察員の手続(刑訴法203条)
  6. (1)犯罪事実の要旨の告知

    司法警察員は、引致を受けた場合、直ちに犯罪事実の要旨の告知を行わなければならない。

    (2)弁護人選任権の告知

    弁護人選任の申出があった場合には、当該弁護士等に対してその旨を直ちに通知しなければならない。

    (3)国選弁護人制度に関する教示

    被疑者に対し国選弁護人制度に関する必要事項を教示しなければならない。

    (4)弁解の機会の付与

    被疑者に弁解の機会を与え、その弁解内容について、前記告知及び教示に対する応答と共に弁解録取書に記載し、被疑者の署名押印を求める。

    (5)留置要否の判断

    弁解録取書の内容、事案の軽重及び態様、逃亡及び罪証隠滅等の捜査上の支障、被疑者の年齢、境遇、健康その他諸般の状況を考慮し、留置の要否を判断する(犯捜規130条4項)。

    (6)釈放又は送致の手続

    被疑者の身柄を拘束した時点から48時間以内に、釈放又は送致の手続をとる。被疑者を留置した場合は、必要な捜査を行い検察官に送致する手続をとり、被疑者を釈放した場合は、速やかに逮捕に関係する記録(書類及び証拠物)を検察官に送致する(刑訴法246条)。