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行政法

地公法における秘密を守る義務

[問題]

地公法における秘密を守る義務について述べなさい。

  1. 秘密を守る義務
  2. 地公法34条1項の規定により、地方公務員は、「職務上知り得た秘密」を漏らしてはならない義務を負っている。

    この秘密を守る義務は、職務に付随して認められる義務であり、退職後においても、継続して課せられる義務である。

  3. 秘密
  4. 公に知られていない事実であって、それを公表すると、行政に支障が生じるおそれ、又は国民の利益を害するおそれがあるものをいう。

    判例は、「秘密」について、非公知の事項であって、実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるものをいうと判示している(最決昭52.12.19)。したがって、例えば、ある文書について「秘文書」の指定がなされていない場合でも、秘密に当たる場合がある反面、「部外秘」の指定があっても、秘密に当たらない場合がある。

    (1)職務上の秘密

    当該地方公務員の所管に属する秘密をいう。

    (2)職務上知り得た秘密

    当該地方公務員が職務の執行において知った秘密をいう。

    所掌事務に関するもののほか、担当外の事務に関するものであっても、職務に関連して知った秘密はこれに当たる。

  5. 職務上の秘密と証人等としての証言
  6. 法令に基づき、証人や鑑定人等として職務上の秘密に係る事項を証言する場合、所轄庁の長(地方公務員の場合は任命権者、退職者についてはその退職した職又はこれに相当する職に係る任命権者)の許可が必要となる(地公法34条2項)。

    この場合、法律の定める条件等に係る場合を除いては、この許可を拒むことはできない(地公法34条3項)。

  7. 義務違反の場合の措置
  8. 秘密を漏えいした者が現に職員であるときは、懲戒処分の対象になると同時に、刑罰の対象にもなる(地公法29条、60条)。

    以前職員であった者については、懲戒処分に付することはできないが、刑事罰の対象にはなる(地公法60条)。

    現職、退職後を問わず、秘密を漏えいした者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられる(地公法60条2号)。